新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2016年6月号(No.453)

201606

特集:ストック社会/不動産流通の役割と可能性

斡旋仲介が主の宅地建物取引業は、まちづくりでは陰の存在、受身の印象が強い。しかし、空家の新たな居住形態への転用、災害時の借り上げ仮設住宅、差別されやすい弱者の居住支援などは、家主を含めた地域の住宅ストックの実態を知る宅建業の協力なしには進められない。ストックの時代に、新たな役割を期待される不動産流通の試みと今後の課題を探った。

・岡山市における不動産ストック活用事例と問題点     今中 大介
・中古町家リノベーション事例不動産業者の取組みから   新川 納美
・京都マンション管理評価機構による管理評価       安枝 英俊
・ストックの活用における流通分野の役割         編集部(大槻 博司)


 

■  新建のひろば

・東日本大震災5年メモリアル集会~災害に強いまちづくりをめざして~
・東京支部有志企画 第二弾 講演会「福島の現状と原発再稼働問題」
・京都支部──大文字山登山と山歩き
・東京支部参加──「みんなで考えよう2020オリンピック
・パラリンピック第6回提言討論会」
・長野支部──リニア中央新幹線予定地の現地見学会
・東京支部──実践報告会2016
・東京──熊本地震災害と住宅対策等、住宅問題で院内集会
・復興支援会議ほか支援活動の記録(2016年4月1日~4月30日)

■  連載

《ハンサム・ウーマン・アーキテクト11》
住宅・都市整備公団~都市基盤整備公団~URと共に歩む牛山美緒さん         中島 明子
《創宇社建築会の時代16》「現実を見よ!」の建築論               佐藤 美弥
《20世紀の建築空間遺産10》クラウン・ホール                小林 良雄
《設計者からみた子どもたちの豊かな空間づくり23》 保育と建築空間       松井 俊


 主張 『会員たちのすてきな生き方』

新建全国幹事会議長 山本 厚生

新建に入会するように誘いたい人に、新建の魅力を理屈ではなく、具体的に伝えるにはどうしたらよいのだろう。
新建が他の団体と異なる素晴らしい特質って何だろうと考えてきましたが、そうだ!今、新建にしっくり馴染んで活躍している方たちの様子を分析してみれば、分かるかも知れないと思いつきました。
そこで、私が出会った多くのすてきな会員たちを思いうかべ、整理してみると、そこには生き方、考え方や関心の持ち方などに共通した特徴がたくさんあることに気付きました。
そのなかでも私が特に注目した傾向は、次の四つのことです。。

1.建築とまちづくりの分野で自分のやりたいことを持っていて、それを追求したいし、そのためにも自分の能力を高めたいと思っていることです。
もちろん、まだやりたいことが見つかっていない人も、現実にやれる条件を模索している人もいます。
そこで新建は、さまざまな企画や集いを催したり、機関誌などで積極的に経験を報告し合い、情報を交流し合って、つながりのなかでそれぞれが自分のやりたいテーマを深め高めて、この分野で活躍する人生を拓いているのです。

2.やりたいことを追求するのは、あくまでもそこで生活する人びとのさまざまな悩みや望みに応え、その要求を実現するためだという信念を持っていることです。
会員たちはけっして金儲けや売名や自己満足などに終始せず、その結果が本当に人びとの生活を豊かにするのに役立っているかを真摯に考えて追求しているのです。
だから、たとえ自分は部分的に拘っただけで責任を持てないことでも、その全体の結果に注目しようと努めます。
この目的と姿勢は、本来の「ものづくり」、つまり人間の「健全な生産活動」の基本に据えるべきことですから、「新建憲章」の前文にはその主旨を明記しているのです。

3.私たちがさまざまな場面でぶつかる歪んだ社会的現象に心を痛め、その要因をなくし、よい方向へ変えようと努力していることです。
特に建築とまちづくりの分野では、よく調べると結局その目的が大きな利潤追求でしかないような策謀を「良識」として公然と押し進める権威や仕組みがあって、人びとの切実な生活要求も押しつぶされ、生活環境も自然環境も歴史、文化環境もじわじわと破壊されてきていて、明るい未来を見いだせない現実があります。
会員たちはその事実を見過ごせないのです。

4.これらの課題を自分ひとりで抱え込まず、共感、共有できる多くの有志と協力して取り組み、実現しようとしていることです。
ひとりだけで解決できるのなら、なにも新建の必要はないのです。
しかし、1、自分の能力を高めて活躍するのも、2、人びとの役に立つ立場を貫くのも、3、世の中の歪みを直すのもさまざまな専門家や生活者たちと共同し協力してこそ実行できるのですから、会員たちは常につながりを広げ、新建内外の人々と連帯して活動するのです。

こう見てくると、この新建のような場を心から求めているこの分野の若い人は、各地にたくさん居るにちがいないと思えてきますが、いかがでしょうか。
一体どうしたら出会い、つながれるのでしょうか。
新建をもっともっとたくさんの人に知ってもらえるような創意工夫をしたいものだと切望します。

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