新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2014年9月号(No.433)

9月号表紙

特集:2020年東京五輪の施設計画と都市まちづくりの課題

2020年の五輪(オリンピック・パラリンピック)の開催都市が東京に決定してから1年、今年は、関連する全ての分野の基本計画を定める年とされている。
最も重要なのは競技施設計画であろう。国立競技場は、一昨年に国際デザイン・コンクールが行われ、ザハ・ハディド氏の案が選ばれた。この新国立競技場計画案については、槇文彦氏が昨年8月、その規模の大きさを問題にした批判的論考を発表したことから波紋が広がり、建築界を超えた社会問題に発展した。
建築5団体は槇氏の意見に同調して計画案の見直しを要請した。つづいて昨秋、現在の国立競技場を改修して使い続けようと「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」が女性の共同代表によって結成された。また、日本建築家協会は関連施設全般の望ましい計画・設計の進め方につき要望書を当事機関へ提出した。
新建築家技術者集団も今年の6月7日に既存施設の活用を強調した「提言」を発表した(本号にその全文を掲載する)。さらに、「オリピック・パラリンピックを考える都民の会」が結成され、6月下旬に簡素で環境に優しく経済的に負担の少ない大会にすべきと「提案」をまとめ、関係機関へ届けた。
そもそも東日本大震災と福島第1原発事故被災地の復旧・復興こそが最重要課題であるこの時期に、五輪どころではないはずだが、国際的に約束した以上はその望ましい在り方を追究せねばならない。だが、五輪便乗とも言うべき開発プロジェクトが目白押しと伝えられる。同時に、建築工事費は高騰し、職人労働者が不足する深刻な事態が進行しており、東北被災地復興にマイナスの影響は必至だ。
以上の状況を踏まえて、この間の建築家、技術者と市民の運動から問題を見定め、今後の粘り強い運動を展望したい。(担当編集委員/小林良雄)

・民意なき五輪施設計画と都市づくりを検証する/末延 渥史
・歴史的に見た神宮外苑とオリンピック 国立競技場をめぐって/松隈 洋
・国立競技場を改修して未来へ
「神宮外苑と国立競技場を未来に手わたす会」の運動経過とそこから見えてくるもの/日置 圭子
・<インタビュー> 自然保護とオリンピック
葛西臨海公園のカヌー競技場計画の変更をめぐって/川沢 祥三+飯田 陳也
・オリンピック・パラリンピックの施設計画に何が必要か
建築アドバイス機構(日本版CABE)の提案/連 健夫
・2020年東京オリンピック・パラリンピックの関連施設等に対する提言
/新建築家技術者集団東京支部+全国常任幹事会
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■連載
《建築保存物語17》 東京女子大学東寮、旧体育館-2(1924年東京杉並区)/兼松 紘一郎
《主張》 スクラップアンドビルドの呪縛からの脱却を/大槻 博司
《設計者からみた子どもたちの豊かな空間づくり12》 子どもたちの活動が緩やかに連続/木村 よしひろ
《木の建築~歴史と現在 10》 棟梁建築家・鉄川与助/大沢 匠
《書棚から》 『住まいを再生する東北復興の政策・制度論』
《新建のひろば》

 

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