新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2001年12月号(No.293)

■特集■都市内居住の実相 

 都市が拡大・膨張を続けている間に都心では人口の流出が続いた。いわゆるドーナツ化現象で小中学校の廃校など地域社会が成り立たたないままの状況が生まれた。バブル期の異常なまでの住民追い出しは記憶に新しいが、都市膨張が止まりバブルがはじけるとオフィス需要は幻想となり、代わりに住宅が供給された。「都心居住」はトレンドとなった。
都市に人が住むのは当然だ。しかし、今声高に叫ばれている都心居住には疑問が多い。高層・超高層主体の住宅形態は、当の居住性だけでなく周辺に深刻な影響を与え紛争を起こしている。居住者階層の偏向は、何十年前に郊外団地で起こったことが繰り返されている。都心近接の住宅地の安全性は遅々として向上しない。都内に住宅を建てることはいいことだ(実は良く売れる)として、荒っぽく進められる都心居住は都市構造を再び大きく歪めている。
貴重な都内の土地は、環境・文化・景観・アメニティの各面から厳しいアセスメントが必要である。新たな視野とビジョンが求められている。

(特集担当編集委員 大崎 元)

都市内居住に見る生命力――町らしい町をつくることができるのだろうか 高野公男
都市居住とサステイナビリティ――東京谷中とロンドン都心部の取り組みから 山口邦雄
都心再開発での集合住宅の役割と問題 小畑晴治
密集住宅市街地の向かうところ――都市内居住のもう一つの可能性 岡田昭人
都市に住むことのアフォーダビリティ――低家賃住宅の役割から 大崎元
都市内居住と郊外居住の交点 永橋爲成
東京構想2000への疑問 新建築家技術者集団東京支部・東京問題研究会
居住の経験(知)値(1) 南青山に住んで 荒川千恵子
居住の経験(知)値(2) 都心型超高層住宅から見る 有馬立郎
居住の経験(知)値(3) 近郊地の構えの「内」で――文京区に住む 中島智久
■連載
《忙中閑》 山のどんじりの集落に元気が見えた 丸谷 博男
《建築運動史32》一九九〇年代前半  本多 昭一
《主張》修繕からリノベイションへ マンションを取巻く社会的環境の変化の時代を迎えて  大槻 博司
《家具とインテリアの近代5》明治の建具と格子  中村 圭介
《イタリアの都市と空間5》都市空間の造形  松岡 宏吉
《ワーク&ワーク新建61》倶知安町営ソフトボール球場管理棟  女鹿 康洋
《面白かった本・気になる本》
陣内秀信・中山繁信 編著『実測術 サーベイで都市読む・建築を読む』(学芸出版社)
E・モバリー・ベル 著 平弘明・松本茂 訳『英国住宅物語』(日本経済評論社)
《ひろば》 第23回全国大会開かれる/福岡支部の例会報告/東京支部・実践報告会2001開かれる/「新建塾」公開セミナーのお知らせ

 

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