新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2001年11月号(No.292)

■特集■郊外居住の展望 

 20世紀の前半から日本の都市は急速に拡大を続けてきた。東京のような大都市では各時代ごとに、周辺のまちや集落を飲み込み、いくつにも層を成した巨大な郊外を形成した。戦前から首都圏域に主要都市のネットワークをつくる試みはなされたが、東京区部の一極集中は解消されなかった。そして、都市の膨張が止まった今日、郊外は子どもから老人まで安心して住めるのか、既存のまちと融合した地域文化は育つのか、といった疑問が出され、やがて郊外は衰退するという意見さえある。
しかし、退職者など郊外定住層の地域活動の活性化、家庭菜園を含めた近郊農業の再建、徐々にだが周辺都市の吸引力の増加、転出した大学や研究所と地域との協同の可能性等、東京都心からの同心円では論じられない郊外の自立性も認められるようになってきた。
いずれにせよ、郊外には今後もかなり長い期間にわたり膨大な人々が住み続ける。右肩上がりでない社会の中で、郊外の今後を展望するシナリオづくりは大都市圏の課題となっている。

(特集担当編集委員 鎌田一夫)

都市郊外の生命力――農と共生する都市・耕す空間のアメニティ 高野 公男
郊外地域の新たな展開――東京郊外に寄せて 吉田 清明
旧玉川村の人びととその暮らし――記憶の中の郊外・その形成過程と展望 新井 英明
郊外地のまちづくり――埼玉県小川町見聞活動記 若山  徹
公団賃貸住宅のある風景 若林 祥文
都市計画事業により開発された郊外分譲団地建替の背景 田頭 脩宏
郊外居住のデザイン 山田 正司
郊外居住のクォリティ 鎌田  一夫
郊外像の変貌と住環境の再編 鈴木  貢
■連載
《忙中閑》 手におえない情報化社会 丸谷 博男
《建築運動史31》 建築運動史から見た職能議論 本多 昭一
《主張》 「マイナスからプラスへ」同時多発テロ事件から   平本 重徳
《家具とインテリアの近代4》和洋折衷の明治宮殿 中村 圭介
《イタリアの都市と空間4》都市の顔  松岡 宏吉
《ワーク&ワーク新建60》F邸  見浦 泰治
水野 久枝
《面白かった本・気になる本》
秋山哲男『住民参加のみちづくり バリアフリーを目ざした湘南台の実践から』(学芸出版社)
陣内秀信『イタリア 都市と建築を読む』(講談社+α文庫)
《ひろば》 全国幹事会報告01年9月15日~16日
新建築家技術者集団第23回全国大会議事日程

 

先頭へ戻る