新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2001年8/9月号(No.290)

■特集■中部地域の大型公共工事を問う

  「今、長野県がおもしろい」といわれている。うわさの県知事の誕生が何かと物議をかもしていることもあるが、その中の「脱ダム宣言」は公共事業の今後のありようを問うている点で注目されている。
社会資本として蓄積される公共投資、公共事業は、これからの社会の成長と充実のためには必要なことである。しかし、それはその時代の政治、経済、文化の水準とバランスの取れたものであることが絶対に必要である。そうでない場合は、地域住民との間にさまざまな歪みが生じることになる。
バブル経済崩壊後のまったく出口の見えない不況で、国民の生活は経済的にも精神的にも疲弊しきっているが、政府の政策はあいも変わらず「景気の浮揚は建設関連の大型公共事業投資」の一本やりで、今はまったくのムダとしかいいようのないものが多い。そして、それは国全体の問題に留まらず、地方自治体の自主的な成長をも困難にし、財政を破綻寸前の状況に追い込んでいる。その結果、地域住民のさまざまな分野での生活が圧迫されることになり、不況の中で二重三重の苦しみとなっている。
今回の特集では、「愛知万博と海上の森」「中部国際空港」「長良川河口堰」「静岡空港建設」など中部地域の大型公共工事の問題を取り上げ、地域住民との間でどんなことが問題になっているのか、どんな困難をもたらしているのか、どんな問題が今後予想されるのかを指摘し、これらのプロジェクトが住民の望む公共事業といかにかけ離れているかを明らかにしたい。そして、何よりもその地域住民がより豊かになるための二一世紀の地域計画はどうあるべきかを、生活者の立場、視点から探ってみたい。
(特集担当編集委員 細野良三)

愛知県の大規模開発の現状と問題 中川 武夫
稼働から六年
――長良川河口堰を検証する
西澤 信義

長良川河口堰のその後

藤吉 勝弘
中部国際空港は必要か
――ムダと環境破壊の大型プロジェクト
加藤 謙次
海上の森を守る運動 宇佐見美智代
迷走する愛知万博 古田 豊彦
本当に必要なのか「静岡空港」 石間  均
中部地域からの告発
──21世紀の環境民主主義
片方 信也
■連載
《忙中閑》 二番茶摘 丸谷 博男
《建築運動史29》 70年代と「新建」と私 本多 昭一
《研究室・研究所現場レポート》 年のくらし、すまい、まちづくりの研究機関(都市整備基盤公団総合研究所) 横堀  肇
《主張》 不況の中の「技術の荒廃」に思う 高橋 偉之
《家具とインテリアの近代2》 明治の住まい 中村 圭介
《イタリアの都市と空間2》 ローマの都市改造 松岡 宏吉
《ワーク&ワーク新建56》 吉田整形外科病院&リハビリ棟 大石 治孝
《面白かった本・気になる本》
世古一穂『協働のデザイン――パートナーシップを拓く仕組みづくり、人づくり』(学芸出版社)
湯川利和『まもりやすい集合住宅――計画とリニューアルの処方箋』(学芸出版社)
《ひろば》 拡大全国常任幹事会報告(01/7/14-15)/新建かごしま近況/札幌にて/第5次「憲章」案がまとまりました/関西ブロック企画・建築系の学生さん達に建築とまちづくりの展望を語る企画(続報)/ヨーロッパ近代建築を巡るツアー1ご案内/京都支部例会開かれる

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