新建築家技術者集団

建築とまちづくり

2001年1月号(No.284)

■特集■20+1世紀へのメッセージ――語りつぐ20世紀のエポック

 20世紀はこれまでの世紀の中で最も激しく変化した時代であると思える。
世紀初頭は、コンクリートと鉄の建築が出現し始めたときであり、技術が新しいデザインを切り拓いていく姿を目の当たりにすることができた。そして資本主義経済の発展が巨大な都市を世界中に造り出していった。
一方では、何百年という歴史の積み重ねによってつくられてきた地域・地方が、姿を失っていくときでもあった。地方の過疎化、都市の過密化という現象は今も続いている。
そして20世紀の後半には、生産から情報に至るまで、経済の基盤と生活の基盤を大きく変化させる強烈な動き――情報化――が出現した。それこそ人知を超えた社会革命ともいえる動きである。その結果、流通から生産、販売まで、それまで資本主義経済によって培われてきた構造は、一挙に変革された。また、人々の生活においても携帯電話の端末がパーソナルユースとなり、同時に個人レベルでのコンピューターの利用が急激に普及した。誰も予測しなかった速度で社会変化が進み、すでに過去とは違った次の時代を迎えてしまった感さえある。
しかしその一方では、災害は繰り返され、民族間の戦争も激しさを増してきている。また、旧中心市街地の衰退と高齢社会化、地方のますますの空洞化など、解決されるどころかかえって深刻さを増している状況もある。ますます増え続けるゴミとその処理問題など、生活レベルでの諸課題が手つかずにいる状況もあり、コンピューターの進歩に見る未来への予感と、それに反して非常に立ち遅れた人間の基本条件、環境づくりへの努力の欠如とが大きな矛盾として、21世紀への不安を伝えているように思わないわけにはいかない。
今号では、20世紀の印象的な事件、プロジェクト、自治体の動き、あるいは住民活動など、20世紀からの教訓を21世紀につながるものとして取り上げた。新世紀の幕開け、この特集が新たな一歩を進めるための契機となり、また次世代へのメッセージとなることを期待する。

(編集委員長 丸谷博男)

地域に根ざす建築デザインの展望 三沢  浩
生活を支える施設、地域づくり 永橋 爲成
「車社会」から「歩行社会」へ
――新モールのまちづくり
松井 昭光
新世紀のために 広瀬 鎌二
意匠と構造 または 視覚と聴覚 清瀬  永
歴史を通して何が見えるか 何のために何をしてきたか 大石 治孝
古墳時代からの借景
――開戦日の思い出
中村 圭介
望まれる公共建築 増渕 昌利
密集事業の到達点
――衰退した住宅市街地の自律更新
黒崎 羊二
21世紀の建築設計
――現場の発想をデザインに活かす仕組み
本多 昭一
人権としての居住の実現へ 早川 和男
建築協定、管理組合、コーポラティブ
――共同のまちづくりへ向けて
石田 頼房
■連載
《忙中閑》 私の町内活動 加藤 錦弥
《建築運動史23》 60年代前半――なぜこの時期に建築運動が再起しなかったのか 本多 昭一
《主張》 「協同」の理念の実践で21世紀の展望を 萩原 正道
《世界の集合住宅見聞録11》 ベルリンIBA 87(その1) 鎌田 一夫
《歴史・まち並み・見て歩き11》 十王村の水 木下 龍郎
《ワーク&ワーク新建52》 荒沢自然館 渋谷  尚
《面白かった本・気になる本》
片木篤他編著『近代日本の郊外住宅地』(鹿島出版会)
宗田好史『にぎわいを呼ぶイタリアのまちづくり』(学芸出版社)
新建設立30周年に至る10年間の活動・略年表 新建全国事務局『建築とまちづくり』編集局
《ひろば》 群馬・埼玉合同実践報告会/第7回全国建設研究集会・交流会に参加して/芋焼酎を傾けながら/三都フォーラム鎌倉集会の到達の意義/北海道で見る夢/地方におけるセミナー開催準備の独り言

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